検査体制
しっかりした診断のために充実した検査体制
矯正治療において、治療の方向性を決める“検査・診断”は重要です。
様々な角度から検査をして、患者さんの状態を隅々まで知ることで、多くの治療メニューの中から最適な治療法を選び出すことができます。従来の検査法だけでは充分なデータを得られない場合があります。
これまでの大学病院での治療経験から、当院のような地域のクリニックでも多角的な診断を可能にする充分な検査体制を備えることが必要と考えています。
当院の検査体制
- 歯科用CT
- 顎口腔機能解析装置
- 顎関節断層撮影
良質な治療を受けていただくための継続的な診断
矯正治療の「完治」は患者さんによって異なります。そのため「本当に良くなっているの?」と患者さんが不安を抱きやすい領域です。
当院では、安心して治療に臨んでいただくため、治療前だけでなく治療中や装置を外す前にも、患者さんと一緒に口の中やレントゲン写真を見ながら現在の状態やそれまでの経過を説明します。
【歯科用CT】歯の状態を立体的に捉える
一般的なレントゲン検査の平面画像に比べて、CT検査のデータは上下の歯列や骨の状態の全体像を立体的に確認できます。
例えば、親知らず(第3大臼歯)の位置や萌出の仕方を確認することもできます。また、撮影範囲を調節すれば、顎関節の位置や形を立体的に捉えられます。
埋伏歯(顎の骨の中に潜っている歯)の位置確認
上顎の小臼歯が内側に場所を変えて潜っていることが判ります。この情報を基に、どのようにしてこの歯を萌出させるのかを決定できます。
歯根(歯の根っこ)の先に膿が溜まっているのを確認
今までは、平面的にしか捉えられなかった病巣や、歯根の状態などを立体的に詳しく検査できます。
(左:横からの状態、右:前からの状態)
【顎口腔機能解析装置】顎の動きや筋肉の活動状態を解析
当院では、必要に応じて顎口腔機能解析装置を使って、咬み合わせの状態を解析します。上下の歯を咬み合わせるまでに至る顎の動き、咀嚼運動、筋肉の活動状態などを様々な観点から検査し、問題点を明らかにできます。検査中に痛みは全くありませんのでご安心ください。
審美面だけでなく咬み合わせの改善も重要
矯正治療は、歯並びなど美容的な観点だけでなく、咬み合わせを改善する治療でもあります。咬み合わせは、美味しく食べるためだけでなく、お口周辺にある顎関節や首、肩、腰などの健康と密接な関わりがあることが解っています。
咬み合わせの問題に付随して、いびつで無理がある顎の運動や筋肉の働きをしていると、顎関節症(顎に痛みや疲れ、動かしにくいなど問題があること)や肩こり、姿勢の歪みが生じる危険性が高まります。
顎口腔機能解析装置の使用例
(以下全て、左:横からの状態 右:前からの状態)
●最大開閉口路
口を大きく開けたときにどのような運動をするのか分かります。顎の関節に異常があるといびつな形になります。
●限界運動路
口を大きく左右や前に向けて動かし、大きく開閉したときにどのような運動をするのか分かります。咬み合わせや顎の関節に問題があると左右非対称になったり、いびつな形になります。
●タッピング運動路
メトロノームなどに合わせて何度も開閉して動かしたときにどのような運動をするのか分かります。咬み合わせが不安定だったり、一部分だけに強く当たるところがあると、ひとところに収束せずに乱れます。
●ガム咀嚼運動路
実際に咀嚼したときどのような運動をするのか分かります。咬み合わせや歯並びに問題があると、スムーズな回転運動になりません。(図は左側で噛んだ運動)
【顎関節断層撮影】関節の形や位置を精査
顎の関節や周囲に痛み・凝りがあったり、噛み合わせが不安定で顎の位置が定まらないなどの問題があるときは、顎関節の形や位置を詳しく調べるために断層X線写真を撮影します。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用
- 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等があるものの、数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者さんの努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせてかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
- 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。