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2010年9月21日

 異様とも云えるほどに暑い夏であった。
日没の早まりに、ようやく訪れた秋の涼しさが一入となる。
程なく夜の帳が降りる頃、八間通りにも
ちらりほらりと呑屋の灯りが点り始める。

 居酒屋「子だぬき」は烏山から八間通りを南へ暫し行き、
花屋を越えたところにひっそりとある。
目指して行かなければ、間違いなく通り過ぎてしまうほど、
控え目で小さな間口しかない店だ。
あまりにも目立たぬため、ここ烏山の私の先達にも
「子だぬき」を知る方は少ない。
しかし、質素ながらもその店構えからは、
旨い酒肴・よいサーヴィスが想像出来るから不思議だ。
呑兵衛の直感というやつだろうか。
嘗て恩師に同行してスペインに赴いた際、
マドリッドやヴァレンシアの何処に於いても
師が入ると決めたバルにハズレはなかったのを想い出す。

 引き戸を開けると、意外や店は奥に広い造りとなっている。
所謂、鰻の寝床というやつだ。
手前右には7~8席のカウンターがあり、
その向かいに4人用ボックス席が2つ、
そして奥には掘り炬燵式に足を入れることの出来る
テーブルが4つ置かれた小上がりの座敷がある。
間仕切りを取っ払って、一繋がりにすることも出来、
グループの宴会などにも使えるようになっている。

 店は、柔和だが職人気質で寡黙な初老の大将と、
いつもにこやかで人懐こい女将さんの2人で切盛りされている。
恐らくは夫婦だと思うが確認したことはないので定かでない。
私が立ち寄る時間帯は、開店して暫く経った頃なので、
カウンターには常連さんのいつもの顔が並んでいて、
座ることは出来ない。
女将さんに促されて、申し訳なく感じながらも、
ボックス席に独り座ることになる。

 まずは仕事の疲れを洗い流すように
ジョッキで生ビールを呑む。
この店には、よくある中生(あるいは生中)がない。
大か小のどちらかだ。当然、大を呑むが、
これは文字通り大きくて中生2杯分にも感じられ、
御代わりの必要がないのがよい。
ビールの後は、いつも芋焼酎のオンザロックスである。

 肴はいつも大体決まっている。
まずは、牛のレバ刺。

kodanuki1.jpg

年中あるメニューで、新鮮なので安心である。
塩とゴマ油をつけて食べると最高に美味しい。
以前お連れした烏山開業の先達などは、
何皿も御代わりをして、これで焼酎を1升以上呑まれた。
そんなに沢山食べるものでもないと思うが、
それだけ驚きの美味しさだったということだろう。

おつぎは、〆鯖。

kodanuki3.jpg


鮨屋で食べるものよりもやや薄く切られており、
腹に溜まらず酒が進む一品だ。酢の加減が丁度よい。
あまり脂っこくないので小肌に近い食感でもある。

そして、子だぬきで忘れてならないのは、
牛スジと野菜のピリ辛スープだ。

kodanuki2.jpg

スープというより、韓国のチゲといった方が
判りやすいかもしれない。
野菜やニンニク、鶏ガラなど?、その他よくわからないが、
いろいろなダシが浸み出したピリ辛スープに、
トロトロに煮込まれた牛スジ肉がたっぷりと入っている。
これを初めて食べた時は、なんて美味しいものがあるんだろうと
大袈裟でなく、本当に瞠目して感動した。
特に焼酎によく合うと思う。

その他にも、自家製ラーメンがあったり、
紹介したい肴が沢山あるが、今回はこの位にしておくとしよう。

願わくば、常連さんで満員になるこの店が、
なにかのメディアに取り上げられたりして
有名になったりしませんように。

2010年9月 8日

 接客に関して、些細なことではあるが、
私のような小さなクリニックを営む自営業者にも
示唆に富むと思われる出来事があったので、
実際の雰囲気がどれだけ伝わるか自信はないが、
長文にお付き合いいただける方には前向きな意味で紹介したい。

朝、よく立ち寄るドトールコーヒーでの出来事である。
(烏山の店ではない。念のため。)
店に入り、ちょっと腹が空いていたので、
コーヒーと共にレタスドッグを注文した。
会計を終えると、
コーヒーを置いたトレーをもって
カウンターの前でレタスドッグが出来上がるのを待つ、
お決まりのドトールでの作法である。だが、
出来あがって差し出されたのはミラノサンドBだった。
ミラノサンドBは、私は食べたことがないが、
ホットドッグよりはボリュームがあって、
多分、お昼によく注文があると思われるメニューだ。
私が、「あれっ?違うよ。」と云ってレシートを見ると、
レタスドッグではなく、確かにミラノサンドBと打たれていた。
レジの店員が聞き間違えたのであろう。
私の滑舌のせいもあるかもしれない。
ミラノサンドBを作って差し出した男性店員は、
私に何か対応する素振りもなく、
すぐにレジ係に確認しに行ってしまった。
「俺は指示どおり作ったんだよ」と心の内で云っている気がした。
私は、もう少し待たされると思ったので、
コーヒーをもって席に着いた。
程なくして、少し年長に見える別の女性店員がやってきて、
「ポイントカードの入力し直しと差額の返金を致しますので、
カードをお借りしても良いですか?」と云った。
前の店員の素っ気ない態度に加え、この時も、
「間違えて申し訳ない」というニュアンスが感じられず、
「なんだか事務処理的だな。もしかしてこの小さなトラブル、
客の問題、つまり私の勘違いとして
処理されようとしているのかな?」
と思えたので、カードを渡しながら敢えて、
「レタスドッグを頼みたいのに、わざわざ
ミ・ラ・ノ・サ・ン・ド・Bとは言い間違えませんよねぇ?」
と申し添えた。
そこで初めて年長の店員はハッとしたように
「申し訳ございませんでした。」と云った。
また程なくして、今度はレジ係(と思われる。注文の際、
いちいち店員の顔をじっと見ているわけではないので、
定かではない。)の若い女性店員が
レタスドッグと共に代金の差額を持ってやってきた。
私のコメントを聞いた先程の年長の店員が
注意を促したのであろうか、
可哀そうに、その顔は蒼ざめて小銭を持った手が
ガクガクと震えていた。
たしかに私は、色黒、短髪に髭面ではあるが、
そんなに怖い人、或いはクレーマーにでも見えたのだろうか?
なんだか心配になると同時に、
どうしてそうなるのか不思議に思えた。

しばらくして、先程の年長の店員が再度やってきて、
ちょっと意味の解らないことを云った。
「ポイントカードを入力し直しましたのでお返しします。
返金は既に済んでいたようですね。失礼しました。」
差額の返金があったのは、その年長の店員が来た後だったので、
何のことを「失礼しました」と謝ったのかよく解らなかったのだ。
恐らく、この小さなトラブル対応において、
店員の間に正確・緊密なコンセンサスが取れないが為に、
互いのやり取りにすれ違いがあり、
このような頓珍漢な言動になってしまったのだろう。
個々の店員が責任を回避しながら、
バラバラに動いているように見えた。

そそくさと足早に店の奥に立ち去る
年長店員の後ろ姿を見やりながら、
「この寒々として無味乾燥な空気感はなんだろう?」と考えた。
注文の聞き違いなどは、最も発生しやすい
日常のトラブルであって、企業本体の問題として
大きくクローズアップされるものではないだろう。
それ自体は大した問題ではない。
恐らく、店員たちは、教えられたとおり、
或いはマニュアルどおりに代金の差額の返金、
ポイントカードの入力し直しなどを行ったに違いない。
しかしながら、そこになかったのは、
客がもつ基本的な人としての「人情の機微」
に対する配慮だと思う。その意味で、
このような小さなトラブルにこそ、マニュアルでは対応できない、
現場に蔓延する重要な問題点を見出すことが出来るのであり、
延いては、それは大企業の栄枯にも関わることになると思う。
私という客が抱いたこの空虚な空気感は、
全てではないだろうが多くの店員に、
いつものルーティンワークに埋没するままに、
客に対する本来のサービスの精神や思いやり、
金を取って商売をしているという責任感・責任を取る覚悟が
いつの間にか欠如してしまっていることに因るのだと思う。
ほんの少し負の感情を表した客の言動にまでも、
中途半端な情報伝達も相まって、
若い店員が過敏に反応して
簡単に心の安定を乱してしまう姿にも、
仕事に徹する自分とプライベートの自分との切り替えが
明確でないことが見てとれる。
この店のような業態においては、
パートタイマー・アルバイト・フランチャイズのオーナー・
直営店なら親企業の正社員、
などの様々な雇用形態・立場の店員がいるのだろう。
立場の違いにより、仕事に対する入れ込み方の違い・温度差は
どうしてもあるだろう。だから、個々人がバラバラな動きを
してしまうのかもしれない。
しかし、その違い・ズレを客に気取られることなく、
スタッフが互いに意思の疎通を図ってチームとなることにより、
トラブル対応時に限らず、澱みないスムーズな流れを作って、
店(あるいは企業、我々のような医療機関も同様)
が一枚岩となって接客に当たるようなシステムを構築することが
重要であるように思えた出来事であった。

2010年9月 1日

 先日、いつもお世話になっている床屋に行った。
「床屋」という表現は本当は好ましくなく、
「理容店」のほうが正しい名称のようだ。
しかし、昭和30年代生まれの私にとっては、
「床屋さん」のほうが子どもの頃から親しみのある呼び方なのだ。
最近(でもないが)は、男性も美容院で
髪を切る方が多いようだが、私は断然、「床屋」派なのである。
それは、床屋が世の男性(特に中年以降)にとって
髪を切るのみならず、リラックス・リフレッシュ
できる場所であるからだろう。
床屋の椅子に座って、常連は髪の切り方、髪型について、
まず何も云わない。
店員も普通、何も聞いてこないか、聞いても
「いつもどおり?」くらいのものだ。
髪を切る作業が始まるや否や、多くの客は目を瞑ってしまうから、
切り方に注文をつけられる訳もない。
それでも気の利いた店なら、粗方切り揃えた後、
後頭部に鏡を当てて、「如何?」くらいは聞いてくれたり
するのだが、大抵の客は頷くだけか、
「うん。」とか一言云うだけだ。
ここまでの間に、ウトウトとしてしまうこと
も多いのだが(これがリラックス)、
頭の向きを変えるタイミングに合わせるなどして、
絶妙に小突いたり、一寸振ったりすることで、
完全に寝入ってしまうのを防いでくれる(ような気がする)。
そして、洗髪に移る。
あまり濡れていない髪でもなぜかヤケに泡立つシャンプー
(スースーするやつが多い)を使って、
自宅の風呂で洗うよりずっと念入りに洗ってくれるのが
気持ち良い。なぜか、シャンプーを洗い流す前に、
髪を中央にまとめて頭を葱坊主のようにする店もある。
シャワーの調整ができたら、促されるままに頭を前かがみに
シャンプー台に突っ込む。
これに対して美容院は椅子を後ろに倒して
後頭部から頭を洗うのが普通だ。
一度だけ経験したことがあるが、
なんだか周囲にスキを見せているような無様な感じがして
床屋派には何とも落ち着かないものだ。
「カユイ所ありませんか?」と聞いてくれる場合もあるが、
答えは無論「特にないです」しかない。
関西ではいろんな所をカユがる客が多いとか。
育った土地柄の違いなのだろうか。
ちなみに床屋のことを「散髪屋」と呼ぶのも関西に多いらしい。
髪を乾かしたら、整髪料のヘアトニックをぶっかける。
まさにブッカケルという感じでたっぷりと使う。
普通、ヘアトニックの銘柄は選ぶことが出来ない。
何であろうと店にあるものを使う。
大抵ギャツビー?とか云うやつだ。
私は普段整髪料は使わないので、よくわからないのだが、
我々が行くような街角の床屋では、
大体同じようなヘアトニックが使われているため、
床屋に行くとスグに人に「床屋に行ったんだね~」
などと指摘されるのは、髪の変化のみならず、
この定番の匂いに因るところが大きいのだろう。
「休日のお父さんの匂い」とも云えるかもしれない。
私の亡父はこの定番の匂いが嫌いで、
床屋に行く時はいつも自分のパンテーン
(ご存知だろうか?四角い瓶に青い液体のやつだ)
を持参していたので、その床屋にはいつの日からか
父専用のパンテーンが置かれるようになってしまったが。
洗髪が終わるとマッサージだ。このあたりが床屋タイムにおいて
最高潮の時間帯といえよう。頭皮から首、肩、腰にいたるまで
強すぎず、弱すぎず、マッサージは腕の見せ所だ。
マッサージの良し悪しが、整髪の腕より重要だったりする
(本当か?)ぐらいだ。電気按摩器を使う店もあるが、
奥歯がガクガクする感じがして私はあまり好きではない。
この後もリラックスタイムは続く。いよいよ髭剃りだ。
自分では出来ない深剃りでお肌ツルツルになるのが
床屋の楽しみの一つと云える。
良く研がれたカミソリをプロが使いこなせば、
家庭用の2枚刃、いや最近の4枚刃でも敵うことはない。
店によっては耳掃除も付いていて、
気持ち良いのは勿論なのだが、
なんとなく、「その耳かき、消毒した?」と
聞きたくなるのは私だけではあるまい。
こうして、至福の床屋リラックス・リフレッシュタイムは
小一時間で終了する。

前述の内容とは矛盾するかもしれないが、
私にしては珍しく、今回はいつもの(5分刈り)とは違い、
「頭の両サイドと後ろは短く、てっぺんの方は
少し長めにして下さい。」と柄にもないリクエストをしてみた。
歯科医師会で顔なじみの某先生が、恐らくは美容院で
整えたのだろう、そんな感じで素敵に見えたからだ。
決して最近の私が、「ケンコバに似ている」などと
嬉しくない指摘を受けているからではない。

結果がこれ↓

TOKOYA1.jpg

でも、床屋さん・・・なんか違うんだよなぁ・・・
美容院とは。

(「モデルの違いです」といった類のツッコミは無用です。)

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ひさの矯正歯科・院長 久野昌隆

ひさの矯正歯科
院長 久野昌隆
http://www.hisano-ortho.com/

【学歴・職歴】
昭和63年
長崎大学歯学部卒業 東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第1講座専攻生過程入学(三浦不二夫教授)
平成4年 医員 採用
平成8年 文部教官 助手 採用
平成10年
卒後教育担当(矯正歯科 ~平成13年3月まで)
平成12年
医局長 (~平成14年3月まで)
平成12年
東京医科歯科大学歯学部附属歯科技工士学校 非常勤講師 併任
平成13年
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校 非常勤講師 併任
平成14年 講師 昇任
平成14年
卒後教育担当(矯正歯科 ~平成16年3月まで)
平成15年
矯正歯科外来 外来医長 (~平成19年3月まで)
平成17年
矯正歯科外来 副科長  (~平成19年3月まで)
平成18年 助教授 昇任
平成19年 准教授
平成20年 東京医科歯科大学 退職
平成20年11月
ひさの矯正歯科 開設